ミキサー食を召し上がっている方でも健康のためには、『栄養価の高い食事』が大事です。
ただ、ミキサー食をなめらかに作ろうと思うと、水やだし汁を多くいれてしまって、
- できあがりの量が多くなる
- 栄養価が落ちる
健康のためには、『栄養価の高い食事』が大事なのに!!
食べられるか分からないけど、栄養補助の飲み物かゼリーを追加して提供するしかない…。
そんな風に思っても仕方がありませんが、最終的に食べきれない…栄養価もあまりとれていないという悪循環に…。
時間と手間をかけて作っているからこそ、食べきれずに残されてしまうことにも、もったいなく感じると思います。
この悪い流れを防ぐために、ミキサー食の低栄養予防として、「食べる量を増やさずに、ミキサー食の栄養価の低減を防ぐ3つの方法」をご紹介します!
この3つの方法を知って頂けると、 栄養補助食品の飲料やゼリーを更に加えるといったことをしなくても、栄養価の高いミキサー食を提供できると思います!!
目次
ミキサー食の低栄養を予防する3つの方法
基本的にミキサー食を作るには、ミキサーに『ご飯』や『おかず』と『水』もしくは『だし汁』を加えて、撹拌しますよね。
そのため、どうしても常食の方に比べて、栄養価が下がってしまいます。
栄養価の低下を改善するための方法として、下記の3つの方法があります!
- ミキサーを回すときに入れる水(だし汁)の量を見直す。
- PFCパウダーなどの栄養価をアップできる製品を活用する。
- 粥ゼリーを使用して、ミキサーにかける。
① ミキサーを回すときに入れる水(だし汁)の量を見直す
え…、そんなこと…??
そう思われるかもしれませんが、栄養価を落とさないためには、非常に重要なことなのです!!
例えば、サバの味噌煮(100g) をミキサーにかけてペーストにしたいとき、どのくらい水を加えますか?
(例)サバの味噌煮100gの場合
常食 | 食材の半量の加水 (0.5倍) | 食材と同量の加水 (1倍) | 食材の倍量の加水 (2倍) | |
サバの味噌煮 | 100 g | 100 g | 100 g | 100 g |
水 | ー | 50 g | 100 g | 200 g |
全体重量 | 100 g | 150 g | 200 g | 300 g |
いくつも選択肢はありますが、
加水量『2倍』が、ミキサーの回りやすさや出来上がりも滑らかになります。
ただし、表と写真からもお分かりいただけるように、加水0.5倍と加水2倍を
比較すると、加水2倍の量が2倍くらいになります。
次に、同じ量(100g)召し上がったとして、栄養価を比較します。
【常食】サバの味噌煮(100gあたり)
エネルギー:272 kcal たんぱく質:13.9 g
0.5倍 加水 | 1倍 加水 | 2倍 加水 | |
エネルギー (kcal) | 181 | 138 | 95 |
たんぱく質 (g) | 9.3 | 7.0 | 4.7 |
※1人分100gとして計算しています。また、分かりやすいように写真はゼリーにしています。
上記の写真のように、できあがりの見た目は同じようですが、加水量が多いほど重量あたりの栄養価は下がっていきます。
2倍加水してしまうと、常食に対して栄養価が1/3程度しかありません…。
しかも、同じだけ栄養価を取ろうとすると、食べる量は2倍以上になってしまいます…。
加水量を見直すだけでもより栄養価の高いお食事になるのです。
②PFCパウダーなどの栄養価をアップできる製品の活用
現在、粉末や液体などで食べる量を増やさずに、栄養価を高めることができる製品が発売されています。
他のメーカー様でも取り扱いはありますが、フードケアですと、PFCパウダー(粉末タイプ)があります。
PFCパウダーは、大さじ2杯(11g)でエネルギー 50 kcal・たんぱく質 2.2 g を摂ることができます。
①の『加水量を見直す』で、食材の倍量の加水(2倍加水)は常食に比べて、栄養価が1/3程度になってしまうとお伝えしました。
(例)サバの味噌煮の場合
100gあたり | エネルギー (kcal) | たんぱく質 (g) |
常食 | 272 | 13.9 |
2倍加水 | 95 | 4.7 |
この2倍加水に対して、PFCパウダーを大さじ2杯を加えるとします。
※100gあたり | エネルギー (kcal) | たんぱく質 (g) |
常食 | 272 | 13.9 |
2倍加水+PFCパウダー | 131 | 6.2 |
※PFCパウダーを入れても溶解するので、『見た目の量』は増えません。ただ、100 g の常食に対し、PFCパウダー11 g を入れると、全体重量が111 g になるので、今回は、100gあたりに換算して数値を出しています。
さすがに、同じにはなりませんが栄養価が1/2程度まで摂ることができます!
PFCパウダーは、『ご粥』や『おかず』1品に対して大さじ2杯入れるくらいが、味に変化なくお召し上がりいただけます。
しかも、PFCパウダーは食事に溶けてくれるので、食べる量は増やさずに栄養価がアップできます。
ただし、冷たい飲料には溶けが良くない特性があるので、温かい食材に混ぜるようにしてください!
③粥ゼリーを使用して、ミキサーにかける
ミキサーを回すために入れていた、『水』や『だし汁』の代わりにスベラカーゼの粥ゼリーを入れるという方法です。
※スベラカーゼの粥ゼリーの作り方に関しては下記をご覧ください。
お粥ゼリーを入れるの…? 味は…?
と思われるかもしれませんが、味は、ほぼ変わらないんです!
焼き肉とご飯を食べているのと同じ感覚で、割と違和感なく何でも受け入れられます。
①同量のスベラカーゼ粥ゼリー、おかずをミキサーに入れてしっかりとかき混ぜる
②全体が均一になれば、できあがり。
たったこの工程だけです!
ポイント
スベラカーゼ粥又はおかずは温かい状態の方が回りやすい!
⇒温かい状態の方が軟らかいので、ミキサーにかかりやすいです。食材によっては、回りにくいものもありますが、その場合はどちらも温めておくとまわりやすいです。
そして、水で薄めていない分、栄養価もしっかりと残ります。
(例)サバの味噌煮100gあたり
常食 | 1倍加水 | 1倍粥ゼリー | |
エネルギー (kcal) | 272 | 138 | 214 |
たんぱく質 (g) | 13.9 | 7 | 8.1 |
備考 | サバの味噌煮100g | サバの味噌煮50g:水50g | サバの味噌煮50g:粥ゼリー50g |
しかも、スベラカーゼ粥さえ作ることができれば、とろみ調整食品やゲル化剤を使用しなくてもまとまり感がでつつ、なめらかなペーストができます。
そのため、在宅の方で、栄養価を落としたくない方にもおすすめです。
おわりに
ミキサー食の低栄養予防として、食べる量を増やさずに栄養価を上げる方法はいかがでしたか?
ご利用者様に合った方法を選んで、是非試してみてください!
お召し上がられる方が食べられる量でしっかりと、栄養価を摂れるようにお食事を提供していきましょう!
(編集:高橋)